こんにちは。今回はぜひ知っていただきたい「前庭覚(ぜんていかく)」についてお話しします。初めて耳にする方も多いと思いますが、前庭覚は、実はこどもの発達にとってとても大切な感覚の一つです。

前庭覚とは?

前庭覚は、一言でいうと「体のバランスを感じ取る力」や、「動きを感じる力」のことです。私たちの耳の奥には、前庭という器官があり、そこが体の動きや位置を感じ取ります。この感覚があることで、私たちはバランスを取ったり、スムーズに動いたりすることができるのです。

例で理解する!前庭覚の働き

では、具体的な例をいくつか挙げてみましょう。

例1:ブランコ遊び

こどもがブランコに乗って楽しんでいる姿、想像できますか?ブランコで前後に揺れることで、前庭覚が刺激されます。前庭覚がしっかり機能していると、揺れる感覚が心地よく感じられます。しかし、前庭覚が過敏なこどもは、ブランコで揺れることが怖かったり、逆に鈍感なこどもは、もっと強く揺れたがったりすることがあります。

例2:ぐるぐる回る遊び

こどもが自分でぐるぐる回って遊ぶのが好きなこと、ありますよね?このような回転遊びは、前庭覚を刺激しています。バランス感覚が養われ、回り終わった後にふらつかないようにする力が鍛えられます。ですが、前庭覚に課題があるお子さまは、ふらつきが続いたり、反対に回転を繰り返したがることがあります。

例3:歩きながらのバランス

例えば、こどもが細い道や平均台の上を歩くとき、自然と両手を広げてバランスを取りますよね?これは前庭覚が働いている証拠です。この感覚がうまく働いていると、転ばずに歩けるのですが、前庭覚の発達が遅れている場合、ふらついたり、バランスを崩してしまうことがあります。

前庭覚がうまく働かないとどうなる?

もし前庭覚がうまく働いていないと、次のような行動が見られることがあります。

ブランコや滑り台を怖がる:揺れや動きに敏感で、不安を感じやすい。

動きすぎてしまう:逆に、刺激を求めて体をぐるぐる回したり、高い場所から飛び降りたがる。

ふらつきやすい:バランスを取るのが苦手で、転びやすい。

車酔いや乗り物酔いが激しい:バランス感覚が過敏になり、揺れを感じやすい。

できるサポート

では、前庭覚に課題があると感じた場合、どのようにサポートしてあげれば良いでしょうか?以下のポイントを参考にしてください。

1. ゆっくりとした動きで遊ぶ

こどもが揺れるのが苦手な場合、ゆっくりとした動きで少しずつ慣れさせていくと良いでしょう。たとえば、ゆっくり抱っこして揺れたり、ソフトなブランコに乗せたりします。

2. 回転遊びを取り入れる

前庭覚を鍛えるために、ぐるぐる回る遊びを取り入れてみましょう。ただし、こどもの反応をしっかり観察し、回りすぎて気分が悪くなっていないか確認してください。

3. バランスを鍛える遊び

バランスボールや平均台、片足立ちなど、バランスを取る遊びを取り入れるのも効果的です。楽しみながら前庭覚を鍛えることができます。

おわりに

前庭覚は普段意識することが少ない感覚ですが、こどもの成長にとって非常に重要な要素です。もし「少し苦手かも?」と思ったときは、無理をせず、ゆっくりと慣れていく時間を大切にしてくださいね。お子さまのペースに合わせてサポートしてあげることで、バランス感覚や運動能力が自然と向上していくでしょう。そして、実はバランス感覚の他にも大事な機能がたくさんあります。それについても別の機会にお伝えできたらと思います。

何か気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください!お子さまの成長を一緒に見守っていきましょう。